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最初のクーデター

 

(製品版と若干表記が違う場合があります)

 

シーリン「大変! 保守派のクーデターです! 王宮が取り囲まれているわっ!」(c01)

 ドーン!

 古代ペルシャから伝わる宝石と、現代の最新建築技術によって築かれたこの美しい王宮が揺れている。

シーリン「都内の警察組織は、クーデターの攻撃によって壊滅状態です!」(c02)

「国防軍は何をしている! 早く皇女と我々の身を護りに来ないか!」

シーリン「今本部から軍の主力がこっちに向かっているとのことです。そうすれば暴動は鎮圧されます。それまで身を隠されますよう!」(c03)

「隠れる言ってもな! とりあえず皇女の部屋は宮殿の最深部だから、ここで騒動が止むのを待つか。

 陛下も気を落ち着かれますように。」

マリナ「・・・。」

 ドーン!

 ドーン! ドーン!

 宮殿内にまで騒々しい罵声や足音が響き渡っている。暴徒が王宮内にまで侵入したのか!?

 軍の本部基地は郊外にあるが、緊急展開されれば数時間でここまで到達する。昼過ぎには収まるだろう。

 しかし、それまで、王宮の警護隊だけでは守り切れないかも知れない・・・。

 バン!

 突如部屋の扉が開く!

「売国皇女はどこだ! 天の裁きを!」

 パン!

 護衛の一人がすかさず銃撃し、頭から血を噴出しながらうつ伏すテロリスト。

 しかし、まずいことに、今の銃声でテロリスト達に皇女の居場所が漏れてしまった。

 どんどんテロリスト達がこの部屋に向かってくる!

 

<銃撃戦>

 

 ふぅ・・・。

 とりあえずはひと段落着いたか。

 皇女は大丈夫かな。

マリナ「・・・。」

 身体は無事だが、ずいぶんショックを受けたようだな。

シーリン「国防軍が宮殿前に到着しました。クーデターは鎮圧されます。」(c04)

 中にはこうして皇女を憎んで殺しに来る輩までいるが、国民の大半はこの小娘を皇女として崇め、敬愛している。

 だからクーデターなど成功する由もない。

 しかし、こうして突発的に攻撃されれば、暗殺が成功する可能性だって十分ある・・・。

マリナ「どうして・・・どうして・・・こんな・・・。(c01)

 私は飢えて貧しい国民のために・・・。外国に技術協力を頼んだのに・・・。こうも憎まれ・・・、こうも国が荒れるとは・・・。(c02)

 私はもう・・・一体どうしたらいいのか・・・。・・・。・・・どうしたらいいのかわかりません・・・。」(c03)

 その時、私の全身を雷のような直感が貫いた。

 今だ!

 今しか私の野望を果たすチャンスはない!

「・・・姫様・・・。よくお聞き下さい・・・。

 今、姫様も肌身で感じられたように、国は荒れ、姫様のお命の保障は誰もできない状況です。

 かといって、姫様が今退位されたり、亡命されたりすれば、それこそ国内の諸勢力は、お互いの妻や子供を一人残らず殺すまで、戦いあうでしょう。

 今日のクーデターは国内の資金とエネルギーが枯渇したために発生したものです。飢えた国民が王宮に不平をぶつけるのは当然です。

 姫様! 目を覚ましなさい! あなたの身を尽くす時です。どんな手段を使ってでも、外国の援助を引き込むのです。

 あなたの身命の全てを投げ打って、この聖なる神の使命を果たしなさい!

 明日のパンが保障されるようになれば、国民ももはや姫君に銃を向けることはありますまい。」

マリナ「私は精一杯頑張っております。しかし、国連もヨーロッパもこれ以上お金は出せないと! 撤退する準備をしているのです! どうすれば良いと言うのです。」(c04)

「私は言いました。『身命の全てを投げ打って』と。

 国連大使もAEU領事も機械ではありません。自らの意思を持って本部で手を挙げて、ここに来ているのです。彼らはよき理解者です。

 だから、彼らがその気になれば、撤退などということにはなりません。逆に本部から援助を引っ張ってくれるでしょう。

 どうして国連本部がこの偏狭の地に大使派遣と技術支援を行いますか。なんのメリットもない、この地球の果てに。

 それは、ただただ大使ご本人の情熱があったからではないですか。だから、今までの援助につながっていたのです。

 大使がこの国と姫様を愛すれば、そう、大使が姫様のことを愛すれば、大使は残って資金と技術を援助し続けてくれるでしょう。

 そうすれば、再び国は豊かになりましょう。」

マリナ「だから・・・、だから私は具体的にどうすればいいのですか! 私にできることは全てしてきました!」(c05)

「それは本当ですか? 本当にあなたは何ももったいぶらずに、全てを大使にさらけ出してきましたか?」

マリナ「ええ。私は何度も頭を下げ、彼の侍従よりも多く彼に頭を下げてお願いしてきました。(c06)

 その結果、先月中に撤退する予定が、今月まで延びたのです。しかしそれも時間の問題です。」(c07)

「頭を下げるだけでは足りない! そんなことは犬でも餌が欲しければするでしょう。」

マリナ「じゃあどうすればいいのですか! 彼の靴にキスしろとでもおっしゃるのですか!」(c08)

シーリン「ただでさえ外国の援助を屈辱と感じている勢力が、現にこうしてテロを起こしているというのに! マリナ様、この男を排除なさいませ!」(c05)

「こんなことだから国は傾き、あなたは危険に晒されているのです。

 私は出て行けといえばすぐにでもここから出て行きます。今すぐにでも。

 しかし私までもが反対派につけば、あなたは来月の国連撤退を見送ることすら出来なくなるでしょうな。」

マリナ「・・・。

 おっしゃってください・・・。私がこれから何をすべきなのか・・・。」(c09)

シーリン「マリナ様!」(c06)

「彼女を少しの間、この部屋から出してください。宮殿から追放する必要はありませんが、今しばしだけ。

 そして今後は私の助言を優先していただきたいのです。私はあの侍従とは違い、議会に政治力もあるのですから。」

シーリン「!」

マリナ「・・・。ごめんなさい、シーリン。少しの間だけ、席をはずしてくれるかしら・・・。・・・。・・・お願い。」(c10)

 シーリンは憤怒の表情で、その場を去っていった。

「他の護衛等も部屋の外で警備させますように。情報が漏れてはまずいですので。」

マリナ「・・・。全員、外に出てください。」(c11)

 部屋の中にはシーリン以外にも数名の護衛と侍従が付き添っていたが、今だけは全員部屋の外に出た。

 今この女を殺そうと思えばできる。殺さなくとも、それ以外のことでも、何でもできる。

 その事実が私の神経を高ぶらせた。

 そして、私が命じれば、この女は何でもするだろうか?

 この女に何でもできる私は、この女に何でもさせることはできるだろうか。

 この、国民から神の代理のように崇拝されている、純粋で無垢な、しかし無知なこの皇女に。

「・・・。シーリンは怒って、あなたを捨てて宮殿から出て行ってしまうかもしれませんな。」

マリナ「そんな! ・・・。そんなことは・・・ないと思います・・・。」(c12)

「しかし、後悔はなされませんように・・・。一度傷ついた友情は修復にとても時間がかかります。今は私だけを頼りにするように。」

マリナ「・・・。・・・はい・・・。政治家として・・・、知恵のある男性としてのあなたの力に頼ります・・・。」(c13)

「三度目ですが、同じことをまた言います。国家の存続のため、国民の幸せのため、あなた自身の身の安全のため、手段を選ばず、何でもするようにしなさい。」

マリナ「・・・はい・・・。はい・・・。私は何でもいたします・・・。」(c14)

「神に誓いなさい。」

マリナ「・・・はい・・・。アザディスタンの神に誓い、私は何でもいたします・・・。」(c15)

「私の命じることを全権者の命令とだと思い、何でも聞くようにしなさい。」

マリナ「はい。はい。私はあなたの命じることを何でもいたします・・・。」(c16)

「神に誓いなさい。」

マリナ「はい。わが国の神に誓い、私はあなたの命令することを何でもいたします・・・。」(c17)

「ならば、今ここで裸になりなさい。」

マリナ「

 ・・・・・・。・・・。・・・何故・・・・・・ですか?・・・」(c18)

「数秒前に神に誓ったこともできないのか。私が今あなたに命じたのです。」

マリナ「・・・。しかし・・・。突然ですので・・・。あの・・・。」(c19)

「できないのですか?」

マリナ「・・・。私はまだ・・・その・・・。婚約をしていなければ・・・、男性も知りません・・・。・・・男の人に・・・肌を晒すのが・・・。」(c20)

「ならば、ご自由に。私はこの宮殿から去るとしましょう。失礼。」

マリナ「あ! ・・・待ってください・・・。あの・・・。脱ぎます・・・。脱ぎますので・・・。(c21)

 ただし・・・。神の禁じる姦淫(かんいん)だけはなさいませぬよう・・・。」(c22)

「ご自分に自信を持ちすぎですな。黙ってさっさと脱げばよろしいのです。」

 そう罵られると、この皇女特有の被虐の表情、男の嗜虐心を焚き付け、苛めつくしたくなるような、あの陰気で不幸せな表情をこちらに見せた。

 そして、その半ば絶望的な面持ちで、一枚一枚礼服を脱ぎだした。

 侍従がいないので時間がかかったが、下着姿にはなった。

「『全裸』と私は言いました。あなたは商売女のようにじらしているおつもりか?

 さっさと脱ぎなさい。」

 理不尽に棒で殴られた子犬のように落ち込んだ顔をして、皇女はショーツとその奥のブラジャー、そしてパンツを脱いだ。

 どこの国のものだか分からないが、一流の高級品だ。保守派に見せれば「外国に毒された女」と罵るかもしれない。

 いや、それよりも皇女の支持者に売った方が良いか。かなりの高額で売れるに違いない。

 そんな愚にもつかないことを考えていると、皇女が泣き出した。

マリナ「・・・ぐす・・・。・・・うっく・・・。ぐず・・・じゅ・・・うん・・・・。く・・・。(c23・泣き嗚咽)

 ・・・あの・・・。ぐすん・・・。・・・脱ぎ・・・ました・・・。」(c24)

「大したものでもないのですから、いちいちもったいぶらないことですな。

 さて、もう一度その格好で、神と私に誓いなさい。3度復唱しなさい。『私はあなたの命令に何でも従います』と。」

マリナ「・・・ぐじゅん・・・。・・・ぐく・・・。私は・・・あなたの・・・命令に・・・何でもしたがいます・・・。ぐすん・・・。うっく・・・。わたしは・・・、あなたの命令に・・・ぐじゅ・・・何でも・・・従います・・・。私は・・・あなたの命令に・・・ぐすん・・・何でも従います・・・。」(c25)

「まあいいでしょう。服を着なさい。」

 先ほどとはうって変わったように速やかに服を着る皇女。

「今までもそうでしたが、これまで以上に、あなたのスケジュールのみならずあなたの服装までも、私が決定します。

 姫様はそれに従順と従いますよう。」

マリナ「・・・。」

「返事は。」

マリナ「はい・・・。」(c26)

 さて、楽しくなってきたぞ。これからこの女に何をさせてやろうか。

 もうあの口うるさい女侍従もいないのだから、何でもさせられるはずだ。

 

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