セイジレイプシナリオ紹介

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第9夜 「ストリートファイト」

 

(製品版と若干記載が違う場合があります)

 大分メルキドの街中にも慣れてきた。

 日中は商いを遊び半分でしながら、ブラブラうろついている。

 夜になるまでの時間つぶし。夜が本業。

 ああ、どっからどう見ても遊び人だ。

 天国の両親も悲しんでるだろう。

 代々受け継がれてきた武器屋を借金取りに乗っ取られ、息子は歓楽街でブラブラと・・・。

 でもまあまだ一発逆転がなくなったわけじゃない。

 1億ゴールド稼いで返せば、もとの生活に戻れるのだ。

 そして商売のチャンスもある。

 おかげさまでカジノのこともかなりよく分かってきた。

 何事も一見に如かず。

 平和におぼれそうになっている世の中の人たちに、どうやって武器を売りつければいいのか。なんとなくヒントも得られそうだ。

 そんな自己肯定を心の中で必死に行っていると、喧騒が耳をつんざいた。

「てんめぇ! ボッコボコにしてやるからなぁ!」

0100.jpg (38341 バイト)メアリ「ていっ! やぁっ!」(001)

「ぐひゃあぁっ!」

 喧嘩だ!

 しかし、その中の一人は確実に女の声だ。

 声のほうに進むと、細い道の袋小路で男三人と一人の女賢者が喧嘩をしている。

 その女賢者を見てハッとした。

 まさに昨日、あのヤミカジノで手を振っていた「大賢者」の一人だ。

 男達はボコボコにされるのではないか。

 むしろ女の心配はせず、男のほうを気づかってしまった。

 しかし・・・。

「へへへ・・・。この杖がなければ、魔法は唱えられまい・・・。」

メアリ「馬鹿者!魔法を使うのに杖などいるか!」(002)

「じゃあへし折ってやんよ! オラァッ!」

メアリ「やめてっ!」(003)

「へへへ・・・じゃあ大人しくするんだな・・・。」

「ヒヒヒヒヒ・・・。」

 よく分からないが、女賢者が持っていた杖を一人の男が奪ってから形勢が逆転してしまったようだ。

「たっぷりとお返ししてやるからな・・・。」

 男達が女賢者ににじり寄る。大変だ!

「やめなさいっ!」

 なんと! 丸腰なのについ声が出てしまった!

 一斉にこちらのほうを向く男達。

 生まれながらの商人な私は、当然戦闘能力もないし、喧嘩も子供時代に数えるぐらいしかしたことない。

 声を出したことを後悔しているのを男達に見透かされているような気もした。

「人を呼びますよ! 誰かー!! 自警団の人ー!!」

 上の世界の村々のように自警団なるものがあるかどうかはわからないが、適当に大声を出してみた。

「てめぇっ!黙れ!」

 ボカッ!

 世界が大きく揺れる!大地震!!

 右のこめかみに鋭い痛み。

 やっぱり関わり合いになるんじゃなかった。

 しかし、このまま拉致されてしまうのではないかという恐怖心がゾッと私を襲った。

 更に腹に力をこめて「誰かー!!」と思いっきり叫ぶ。

 バキィッ!

 一人の男が私のわき腹に強烈な蹴り!

 内臓と目玉が同時に飛び出そうな痛み!

 ボキィッ!

 先ほど私のこめかみを殴った男が再度私の鼻を思いっきり殴る。

 二秒ほど視界が真っ白になる。

 もう一度叫ぶ。

 「誰かー!! たすけてぇ・・・! たすけてえーーー!!」

 最後のほうは涙ながらになってしまった。

 男達は面倒くさがって逃げ出してしまった。

メアリ「待てっ! 杖を!」(004)

 そう・・・。杖を・・・。

 そう思いながら、みるみる視界は狭まり・・・。真っ暗に・・・。

 気がつくと、女賢者の顔が目の前にある。

「ああっ・・・。」

 さっきの場所だ。私は気を失っていたのか。

 あ。

 膝枕をしてくれている。

メアリ「治癒と回復の魔法をかけました。教会に行く必要もないかな、と思いまして・・・。」(005) 

 頭がボーっとする中で、彼女の優しい声がこだまする。

メアリ「ごめんなさい・・・私のせいで・・・。でもおかげで助かりました。本当にありがとうございます。」(006) 

 何故柄にもなく喧嘩に突っ込んだのだろう。

 ましてこの人は、ヤミの格闘場でもスター選手で並大抵の人間では束になってもかなわない。

 しかし、あのままだったら、ひどい目に合わされていたかもしれない。

 商売をやってきた都合、人の不幸はいやというほど見てきた。

 商いがうまくいかなくて首を吊る商人など腐るほどいる。

 いちいちそんなのを気にしていたら商売などやっていられない。

 しかし、この人の境遇は、それとは違った切なさだ。まともな人間があんなところで殺し合いなどしない。

メアリ「まだ・・・痛みますか・・・?」(007) 

 私が黙って考え込んでいたので、怪訝な顔をして私をのぞきこむ。

「いや・・・。もうすっかり大丈夫です・・・。すみません、ご心配をおかけして・・・。」

 人通りはほとんどないわき道とはいえ、いつまでも街中で膝枕してもらうのも申し訳ないので、もったいなくも立ち上がる。

「メアリ・・・さんですよね。私は(変数名)と言います。しがない商人です。」

メアリ「あ・・・。」(008) 

 少し悲しそうな顔をした。ヤミカジノの人間だと知られたからだろう。彼女には賢者の誇りがあるはずだ。

 でも知らない演技をするのも変だと思い、ズバッとこちらから言ってしまった。

 今日はなんでもダイレクトにしてしまう。

「メアリさんにはお怪我がないようで何よりです。それでは私はこれで失礼します。

 治療までしていただいて、本当にありがとうございました。」

 自分で場の空気を悪くしてしまった。さっさと引き下がろう。

メアリ「あ・・・。本当にありがとうございました!・・・あの・・・」(009) 

 背中越しに声が聞こえる。颯爽と去る私。

 できればまた会いたい。格闘場以外の場所で。

 彼女の心の底からの笑顔を、私だけが見られるチャンスはあるのだろうか。

 

つづき

 

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